最も辛かった旅行の思い出
今まで海外・国内限らず、色々な場所へ旅行に行ってきましたが、一番辛かった思い出があります。
それは、大学2年生、20歳の夏。
カナダへ2週間の一人旅でした。
一人旅といっても、本来の目的はホームステイ。
もともと大学に行ったら、絶対にホームステイしてみたい!と思っていたので、タイミングの一番良かった大学2年生の時にホームステイをすることを決めました。
どこに行くか、どの程度の期間行くか色々と悩みましたが、金銭的な理由とクラブ活動の関係でそれほど長い期間は行けなかったことと、大自然を味わいたいと思った理由で、カナダへ2週間行くという決断を下しました。
ただ、ホームステイをするにあたって1点だけ問題がありました。
個人的にはホームステイだけをして、現地の家族とずっと過ごしたいと思っていたのですが、実際はホームステイには必ず現地の語学学校に通うプランがセットになっていて、必ず語学学校に通わなければいけなかったんです。
当時の自分は人とは違うことがかっこいい、みんなと同じことはしたくないとカッコつけて思っていたのもあって、他の日本人のみんなでワイワイするような語学学校には行きたくないと強く拒否していました。
そこで勧められたのがファームステイでした。ファームステイであれば語学学校に行く必要はなく、2週間自由な時間が与えられます。
そのプランを聞いた自分は迷うことなくファームステイプランを申し込みました!
これで、現地の家族と楽しく毎日を過ごせる!色んな場所に連れて行ってもらえる!ファームステイで自分の大好きな大自然も味わえる!
期待ばかりが膨らんでいました。
この選択が大きな失敗だったとはその時は思いもしませんでした。
地獄の毎日
カナダへの出発日がやってきました。
初めての一人旅に若干緊張しながらも、これから待っているであろう楽しい出来事への希望に胸を膨らませながら、意気揚々と飛行機に乗り込みました。
関西国際空港からバンクーバーへ。
そこで現地の日本人担当者が車で迎えにきてくれて、そこからファームステイ先の町メープルリッジへ。
メープルリッジは人口6万人程度の小さな田舎町で、ファームステイ先は本当に周りに家も何もない山奥の家でした。
まさに、こんな所にポツンと一軒家です。
ホストマザーとファーザーはもちろん暖かく迎え入れてくれましたが、その時から徐々に自分の中の違和感は少しずつ膨らみはじめました。
まず、ファームステイ先に子供がいなかったこと。
ホストマザーとファーザーの二人暮らしで、しかも二人(40代後半?)は2〜3年前に結婚(再婚)したばかりとのこと。
共働きでほとんど家にいないこと。
なぜかホストファーザーは自分に冷たかったこと。
あれ?なんか自分が想像したホームステイとは違う・・。
子供がたくさんいて、平日は子供達やホストマザーと毎日どこかへ出かけられる。
休日には家族でキャンプなどに行って、みんなで楽しく過ごす。
毎日晩御飯も笑い合いながら一緒に食べる。
勝手にそんなイメージを持っていました。
けれども、実際には、
平日はほとんど誰も家にいない。
朝ごはんは適当に冷蔵庫のものを食べてと言われる。
近くに遊びに行けるような場所がない。
どこにも連れて行ってもらえない。
夕食後はすぐに自室に引きこもる。(ホストマザーとファーザーが二人きりの世界に入ってしまうので、居場所がありませんでした・・)
自分の想像とは正反対の状態でした。
(今思うと当時の自分は若かったな〜と思います。勝手に自分で良いイメージだけを膨らませて、事前に何も情報を得ようとせずにファームステイを決め、希望に胸を膨らませていました。今の辛い状況を変えようともせず悲観ばかりしていました。若くて経験も乏しかったのでしょうがないとは思いますが、これぞ自分都合の解釈っていうやつですよね、笑)
2〜3日は家の周りをプラプラ歩いていましたが、本当に森以外何もないので、さすがに飽きてきて、ホストマザーに近くに観光地はないか?と聞き、近くの町を紹介してもらいました。
とはいうものの、バス停もない乗り方もよくわからないバスになんとか乗り、1時間ほど行った場所にある少し大きな街で、確かに観光地っぽい場所ではあるんですが、半日もいれば飽きてしまう場所でした。
この時点でまだ5日目。
あと9日もある今回のファームステイ。
既にホームシックにかかっている自分がいました・・。
現地で感じた強烈な孤独感
海外に行って、日本に帰りたいと思ったのはこの時が初めてでした。
あんなに楽しみにしていたのに、あまりにも自分が描いていた理想と現実が異なりすぎて、もうどうして良いかわかりませんでした。
ホームシックのためか、毎晩眠れずに、自分の寝室にあるテレビを深夜までぼーっと見る日々が続いていました。もちろん面白い番組などやっているわけもありません。
日に日に元気のなくなっていく自分を心配してか、ホストマザーは自宅で飼っている馬に乗せてくれたり、出来るだけ一緒に夕食を食べてくれたりもしましたが、当時の心境では立ち直るはずもありませんでした。
日に日に会話も減っていたように覚えています。
自分でもなんとか現状を打破しようとバスで片道4時間かけてバンクーバーに行ったりもしましたが、楽しそうに遊んでいる日本人の若者のグループを見てはより孤独感を感じるだけでした。
バンクーバでは街歩きや水族館、おしゃれなカフェに行ったり、買い物をしたり、なんとか楽しもうと頑張りましたが、何をしても孤独感を感じるだけ。
すごい景色を見ても伝える仲間がいず、
美味しいご飯を食べても共感できる仲間がいず、
一人旅ってこんなに辛いんだと初めて痛感しました。
(当時にFacebookや簡単に日本への連絡できる手段があれば少しはましだったのかもしれませんが、ほとんど何もなかったので本当に孤独でした。)
こんな事なら語学学校に行って日本人同士で仲良く遊んでいた方が良かった・・。
初めて自分の選択が間違いだったと気づきました。
この旅で決意した事
結局最後まで状況はほとんど変わる事なく自分のファームステイは終了しました。
最後にホストマザーから言われた印象的な言葉があります。
「あなたは若い。まだまだ未熟。だからこれからもっと頑張りなさい。」
後々わかった事ですが、ホストマザーはかなり波乱万丈の人生を生きてきたそうです。きっと自分が落ち込んでいる事、孤独感を感じていることはわかっていたんでしょう。
そして、それに対して、ホストマザーから見れば、僕自身が何もしようとしてなかったことも。だから未熟と言われたんだと思います。
ホストマザーへは帰国後一度だけお礼の手紙を送りましたが、それ以降はもう連絡を取りませんでした。
あまり思い出したくない自分が強かったんだと思います。
そして、僕はこの旅行の後、一人旅は絶対にしないと心に誓いました。
あらためて一緒に行ってくれる家族や仲間のありがたみを感じました。
一緒に行ってくれる家族や仲間を大切にしようと思いました。
勘違いのないように言っておきますが、僕は一人旅を否定しているわけではありません。
むしろ一人旅ができる人を尊敬しています。(当時は憧れてもいました。)
きっと、一人旅をしている人は現地で自分の感情を共感できる仲間をつくる事ができる人なんだと思います。
けれども、僕はそうではありませんでした。
今の自分は二十歳の自分と比べれば多少は成長したと思います。
今なら一人旅をしたとしてもあの頃よりは孤独感を感じないように過ごせるかもしれません。
けれども、やっぱり一人旅をしようとは思いません。
それは、自分が心から信頼している人(家族や仲間)と旅行する楽しみ・喜びを知ってしまったからです。
本当に楽しいんですよね。
カナダへの旅行は自分にとっては苦い思い出となりましたが、とても良い経験になったと思います。あの経験のおかげで、一緒に旅行に行ってくれる家族や仲間の有難さを感じることができたからです。
こういった経験からも僕の「人を幸せにする旅行術」は生まれてきています。
常に、「旅行」と「人」をセットに考える。
それは自分にとっての旅行の本質だと思います。